TCA冬のプレスツアー、地上波局番宣あの手この手
Television Critics Association (TCA)プレスツアーでも、嘗ては、映画のジャンケット並みの付け届け合戦が華やかで、それは手厚い持て成しを受けていたと、ツアーのベテラン選手から聞かされてきました。TCAの会則で、高価な付け届けが禁じられるようになり、更に昨今の不況の影響でマーケティング予算が削られたため、局名入りペン1本にもケチケチぶりが顕著に現れます。今ツアー、NBCの六色のプラスチック製ボールペンが、重厚な金属製に戻ったことは、景気回復より、NBCの自信度の現れのようで喜ばしい!などど悦に入っているのは、私だけでしょうか?
地上波局で、唯一番宣に力を注いだのは、CWの「The Carrie Diaries」のみ。世界的大ヒット「SATC」の主人公キャリー・ブラッドショーの高校時代を描くシリーズで、主役に選ばれたアナソフィア・ロブの愛くるしさと80年代のニューヨークが売物です。「10歳で初めて行ったNYを思い出しながら演じてるの。デンバーではほとんど見かけないタクシーを数えたり、ホテルのロビーのシャンデリアに見入ったことを覚えているわ」と、ロブ自身のNY初体験をキャリーの視点にダブらせていると披露しました。
デンバー育ちのアナソフィア・ロブの視点=憧れのマンハッタンでおっかなびっくりのキャリーとして演じる Marco Sagliocco / PR Photos
ロブは、「フェリシティの青春」のフェリシティ役で一躍名を馳せた、ケリー・ラッセル風の可憐さです。
ベンを追いかけてNYUに進学したフェリシティ役でブレイクしたケリー・ラッセルも37歳! Marco Sagliocco / PRPhotos.com
数日前、FXの春のイチ押しドラマ「The Americans」でKGBスパイ役について語ったラッセルも、もう37歳!なのです。光陰矢の如しと言いますが....、フェリシティのデビュー時を彷彿させるロブは、きらきら輝いていました。でも、「この可憐な小顔がどこでどうサラ・ジェシカ・パーカーになるの?」という質問が飛び出しました。意味不明?ご存知ない方は、Sarah Jessica Parker Looks Like A Horseというホームページを参照してください。私は、ロブのO脚と声が決め手だったのではないか?と見ています。
番宣用紫のビニール小袋に入っていたのは、キャンディス・ブッシュネルのサイン入り「The Carrie Diaries」の原本とレコードジャケットに入った逸話DVD、大袋には当日のNY Times日曜版の全面プレミア広告と1984年1月13日付けのパロディー版とキャスト5人の白黒ポスターが入っていました。会場のロビーに用意されたコーヒーとクロワッサンには、番組に因んだ名言(?)を刷り込んだナプキンが添えられました。高価な番宣商品とは言えませんが、昨秋「Arrow」に因んだ商品が皆無だったことを考えれば、CWのエネルギー/予算配分は一目瞭然です。但し、大人の観賞には耐えられない少女向けシリーズなので、私は3話で放棄してしまいましたし、残念ながら視聴率も芳しくありません。
全く経費はかかっていないものの、大いに宣伝になったのは「アメリカン・アイドル」シーズン12でしょう。ご存知、審査員同士の小競り合いです。Fox担当日のまばらなスケジュールの中で、唯一満席となったのは、「アメアイ」のパネルインタビューだったのがその証拠です。この手のリアリティー番組は、例えFoxの看板を背負っている「アメアイ」と言えども、視聴率が下がってくると審査員を替えて、話題作りに励みます。キース・アーバンが間に座ってつかみ合いの喧嘩にならないように見張ってはいるものの、R&Bの歌姫マライア・キャリーとR&B/ヒップホップ歌手ニッキー・ミナージュの水と油的「確執」劇が目前で繰り広げられました。
(左より)マライア・キャリー、キース・アーバン、ニッキー・ミナージュは、正にこの順番でステージに登場した Andrew Evans / PR Photos
ミナージュは膨れっ面で登場、このまま一言もしゃべらずにインタビューが終わってしまうのだろうか?と思うほど。一方、キャリーは、実は高級ブティック製なのかもしれませんが、安っぽい緑色のチューブドレスに、ダイヤ(まさか偽物ではないですよね?)のイヤリング、ネックレス、ブレスレットがちぐはぐな程キラキラ輝く姿で登場。産後は下半身太りが気になるらしい(?)のに、キャリーの上半身はチューブドレスから溢れまくり、ビーチでインタビューと聞いてたの?と思うほどの露出度。今に始まったことではありませんが....
後半、何故か饒舌になったミナージュは、「大先輩だから、尊敬しているのよ。確執なんて、ある訳ないでしょ!」とキャリーに胡麻をすったつもりが、歌姫は「あら、あら、殊勝なこと!」と鼻の先であしらいます。評論家からの確執の真偽に関する再三の質問は、パネル参加者の無関係/無意味な発言で完全に誤摩化されましたが、二人のボディーランゲージを読めば、犬猿の仲は明らかです。ミナージュに尊敬の念がないと、評論家仲間は読み取ったようですが、「歌姫」の座に鎮座ましますキャリーの態度にも問題があるのではないかと思います。お互いに尊敬の念がない、ベテラン対新人の確執は、全世界の視聴者の目前で繰り広げられますが、どうやら米国の視聴者は辟易し始めたようで、シーズン12は視聴率低下しています。
マライア・キャリー(左)、ニッキー・ミナージュの確執劇で「アメアイ」の視聴率は降下を続けている Chris Hatcher, Andrew Evans / PR Photos