スティングとジェイソン・モモアの共通点?14年冬のTCAプレスツアー - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

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スティングとジェイソン・モモアの共通点?14年冬のTCAプレスツアー

(2014年3月18日)

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ブルー・カラーの故郷を捨てた叩き上げのスティング(左)だが、知性が魅力だった。一方、ジェイソン・モモアの魅力は、昨今希少価値になりつつある精悍で、不敵な面構え。 Andrew Evans, Marco Sagliocco / PRPhotos.com

前回のブログでご紹介した新ドラマ「The Last Ship」(TNT)と、奇しくも同一同名のアルバムを2013年に発表したスティングが、PBS(公共放送)の「Great Performances: Sting: The Last Ship」のパネルインタビューに登場しました。7年前、「Great Performances: Songs from the Labyrinth」のミニコンサートで評論家を魅了したスティングですが、残念ながら今回はニューヨークからの衛星中継インタビューでした。手が届く距離に本人がいるのとは大違いですが、それでも一問、一問、考えながら丁寧に答える様子と知性にうっとりしてしまいました。

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NYでポール・サイモンとリハーサル中のスティング(左、画面)は、穏やかな面持ちで、丁寧に質問に答えた。演台で質問の交通整理を務めるのは、WNET局スティーブン・セガラー番組編成部長。 Courtesy of Rahoul Ghose/PBS


約10年振りのアルバムは、ミュージカル「ザ・ラスト・シップ」のためにスティングが書き下ろした楽曲です。WNET局がニューヨーク市パブリックシアターで開催されたコンサートを録画し、写真や映像を加えて、PBS系列局で放送する演芸録画番組「Great Performances: Sting: The Last Ship」に加工したものです。

ミュージカルは、スティングの故郷ウォールズエンドを舞台に、造船業の結末を父子の観点から描きます。自叙伝ではありませんが、「造船中の大型客船の陰で暗〜い少年時代を過ごし、3Kの造船を忌み嫌って故郷を捨てたことへのうしろめたさが基になっている」と、スティングは創作の動機を語りました。仕事/失業、器としての地域社会についての考察でもあります。

「脚光を浴びたのは、27歳だったから舞い上がったりしなかった。18歳で一躍スターになっていたら、話は別だけど...」と、どさ回りの下積み時代が長かった分、一人前になってから有名になったことを指摘します。これほどユニークな声の持ち主でありながら、土方、牛乳配達、教員などを試したスティングですが、「公務員の仕事が最も苦痛だった!」と笑います。クリエイティブな人種は、大いに納得した筈です。年の功で、声にも人柄にも磨きがかかって、実に素敵なスティングでした。いつか、実物にお目にかかりたいものです。

スティングとは全く異質の魅力を持っているのが、Sundance Channelの自信作「The Red Road」のパネルインタビューに登場したジェイソン・モモアです。人間ドラマや癒し系に配役されるタイプではありませんし、「The Red Road」のパイロットを観た際も、特に目を凝らした俳優ではありません。どちらかと言うと、ケーブル作品の共通点である田舎特有の陰湿さが重く充満していて、「観たくないドラマ!」の箱に突っ込んでしまったほどです。同局の初のオリジナル・ドラマ「Rectify」のパイロットを観た時と同じ感触だったので、特に期待せずにパネルインタビューに臨みましたが....

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異文化が顔に深く刻み込まれているが、ぱっと見はサモア人だ。クリエイターがアメリカ・インディアンの血に目を付け、コーパス役のオーディションを受けるよう説得した。 Courtesy of Sandance Channel


「男の中の男!」が不足している昨今、頑強男キャラにはオーストラリア人が配役されていますが、モモアは「男の中の男!」を絵に描いたような残り少ないアメリカ人(?)俳優です。 ハワイ原住民+アメリカ・インディアン+ドイツ+アイルランドの血を引くモモアが、今回演じるのは、NYハドソン河向岸の山間部に人知れず群集するレナペ・インディアンの末裔フィリップ・コーパスです。地元住民を震え上がらすならず者ですが、高校時代に付き合った白人女性ジーン(ジュリアン・ニコルズ)がアキレス腱のようです。ジーンの当て逃げをあばこうとするレナペ族と、握り潰そうとするジーンの夫や家族との対立が発端となり、醜い過去が発覚します。

2011年、ピープル誌が選んだセクシー男優トップ10の第9位に挙がっただけあって、2メートル近い長身、鍛えられた身体、寡黙で勇敢な騎士のような魅力とでも言いましょうか、人を引きつける力は充分です。今回のならず者キャラについて「ファンタジーやSFモノは、何でもありだから面白いけど、自分とは全く違うキャラをリアルに演じるのは初めて。生まれも育ちもこれだけ違うと、毎日が挑戦!」と、モモアは述べました。

モモア自身、ハワイ生まれでありながら、アイオワで育った根無し草的存在なので、「故郷に戻っても、居心地が悪い、根無し草の一匹狼の部分は地で行ける」と興味深い発言も飛び出しました。それにしても、ケーブル局は何故、こういう暗〜い作品を好んで制作するのでしょうか?


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