良妻賢母だけが女じゃない!「デスパレートな妻たち」2018年版ドラメディー「Good Girls」も、崖っぷちに立つ女たちを哀しく可笑しく描いて爽快、爽快! - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

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良妻賢母だけが女じゃない!「デスパレートな妻たち」2018年版ドラメディー「Good Girls」も、崖っぷちに立つ女たちを哀しく可笑しく描いて爽快、爽快!

(2018年4月 3日)

前回、18年冬のプレスツアーでは、セクハラが話題の中心だったとご報告しましたが、現在のトレンドは解雇処分になったセクハラ加害者の後釜に座る、あるいはエンタメ業界のトップの座に最も無難な「女性」の起用です。更に、有色人種の女性であれば、男尊女卑、セクハラ、あらゆる意味の’差別’を回避することができるので、一石二鳥いや一石三鳥も四鳥も可能で、今正に真の「女の時代」が始まったように見受けます。


この世相を反映して、今春の新作の女主人公は、「グッドワイフ」のアリシア級のデキる女に違いないと期待していましたが、数ある春の新番組の中から、女のドラマ一辺倒の私がお薦めできるのは、僅か三本しかありません。期待し過ぎたのもありますが、よく考えてみれば、今春デビューするドラマは、1年も2年も前から企画されていた作品だからです。来秋を期待しましょう!


2017年のパイロットの中で、粗筋だけ読んで「これっ!」と思ったのが、今回ご紹介する「Good Girls」(NBC)です。配役など一切知らない時点から、期待に胸を膨らませていた作品ですが、待つこと1年余り。昨秋に間に合わなかったのは、配役変更で、パイロットを撮り直す必要があったからです。プレスツアー準備の為に送られて来た3話は、「デスパ」2018年版と言える、崖っぷち女の哀しくて可笑しいドラメディーに仕上がっていました。


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NBC Universal

去る2月26日のプレミア直前に発表した英文評はこちらをご覧ください。

英文評のリンク


ベス(クリスティーナ・ヘンドリックス)は、4人の子育てに余念が無い専業主婦の優等生。夫ディーン(マシュー・リラード)は中古車販売店を経営、6人家族は羽振りよく暮らしていました。ある日、夫の浮気と遣い込みに気が付いたベスは、キレまくり、勢いに任せて夫を追い出します。子供の為に持家だけは守らねば!と覚悟したものの、手に職の無いベスには滞納していた住宅ローンを払う手立てがありません。


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ベスを演じるクリスティーナ・ヘンドリックス(左)とアニー役メイ・ウィットマン。ヘンドリックスは登板の条件として、「過激な部分を切り捨てないとNBCから確約を取付けたの」と言う。ウィットマンは、「これまで自分を押し殺して生きて来た女性に、羽ばたいて欲しいから引き受けた」と母親役への抱負を語った。 WENN.com


アニー(メイ・ウィットマン)は、姉ベスとは正反対の無責任、無鉄砲を絵に描いたようなシングルマザー。スーパーのレジ打ちをして、「ギルモア・ガールズ」風友達親娘を楽しんでいましたが、元夫グレッグ(ザック・ギルフォード)に養育権を奪われそうになっています。弁護士を雇う余裕など皆無、娘を諦めるしかないのかと切羽詰まっています。


ルビー(レタ)は、夫スタン(リノ・ウィルソン)と子供2人と幸せに暮らしていましたが、娘が難病にかかり治療に毎月1万ドルを工面しなければなりません。ダイナーのウエイトレスには、逆立ちしても無理な額です。しかも、ショッピングセンターの守衛では飽き足らず、夫は警官になると学校に通い始める始末です。


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ルビーを演じるレタ。「Girlfriends' Guide to Divorce」(Bravo局)での脇役から主要キャストに昇格したのは、レタの演技力の賜物だ。ここ数年、活躍の場が増えて、浮上して来た黒人女優の一人。 WENN.com


スーパーの金庫に常に大枚が保管されていることを知っているアニーの薦め(?)で、切羽詰まった良い子ちゃんトリオは強盗を働きます。うまく逃げ果せたものの、予想だにしなかった問題が次々と発生します。地元のヤクザから取立てられる、チンピラに脅迫されるは、崖っぷちトリオは「普通の主婦に戻りたい!」と言いますが、今更後の祭りです。シーズン1は、良妻賢母だけが女じゃない!と武器(?)を手にした良い子ちゃんトリオが、毎回深みにはまって行く様子を面白おかしく描きます。


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(左から)無鉄砲アニー(ウィットマン)、ペテン師顔負けの口八丁手八丁ベス(ヘンドリックス)、歯に衣着せぬ物言いの超現実派ルビー(レタ)の仲良し3人組。トリオの会話は、即興のセリフ満載で絶妙。 Josh Stringer/NBC


「Good Girls」の舞台は、自動車の街デトロイト。良い子ちゃん3人組は、働けど働けど我が暮らし楽にならずの労働階級で、贅沢する為ではなく、男に頼っていては埒が明かないと立ち上がります。高級住宅街で繰り広げられる裕福な家庭を守るのが「デスパ」なら、一攫千金を夢見て敢えて危ない橋を渡る労働階級を描くのが「Claws」(17年7月24日にご紹介したフロリダ・ノワール)ですから、「Good Girls」は丁度中間辺りに位置すると言えます。但し、一難去ってまた一難の茶番劇が3作の共通項です。


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1月9日に開催された「Good Girls」のパネルインタビュー。左から、クリエイターのジェナ・バンズ、ヘンドリックス、レタ、ウィットマン。バンズは「過激なシーンはご法度!の御達しはなく、好き勝手させてもらってる」と告白。地上波局が何とかケーブル局の「暗さ」と肩を並べようとしている証拠だ。 Evans Vestal Ward/NBC Universal


クリエイターのジェナ・バンズは、「絶望の崖っぷちに立つ女は、コメディーそのもの」と言います。崖っぷちから奈落の底に真っ逆さまに落ちて行くトリオは、「普通の主婦に戻りたい」と言いますが、「普通」って何なのでしょう?一旦、悪に手を染めてしまうと、人間普通には戻れません。法律や道徳に一瞬目を背ければ、あくせく働かずともお金になるのです。今更、辞められない、止まらない!とは言え、他人事だから大いに笑えます。但し、家族を守ると言う大義名分が立てば、何をしても良いのでしょうか?トランプ政権下では、そんな屁理屈がまかり通りそうで、追い詰められた者の怖さを実感する今日この頃です。


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