シリ・アップルビーの新作「UnReal」はリアル過ぎて辛い! - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

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シリ・アップルビーの新作「UnReal」はリアル過ぎて辛い!

(2015年6月 1日)

6月1日に放送開始となるLifetime局の新作「UnReal」は、嫁選び合戦リアリティー番組の醜い舞台裏を描くブラックユーモア劇です。リアリティー番組の醜い舞台裏を暴露した短編映画「Sequin Raze」を制作したサラ・ガートルード・シャピロが、マーティ・ノクソン(2014年12月31日の『Bravo局初のオリジナル作「Girlfriends’ Guide to Divorce」はドラメディー』で言及したクリエイター)と共同創作/制作しました。ドラマの中で制作される架空のリアリティー番組「Everlasting」は、シャピロがうん十年前(?)働いていたABC局の「The Bachelor」と酷似しています。但し、去る1月に実施されたパネルインタビューでは、シャピロもノクソンも声を揃えて、「嫁取り合戦は、どれも似たり寄ったり。パターンが決まっているから、避けられない」と否定しました。

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精神的に耐えられる自信がないまま、職場に舞い戻ったレイチェル(シリ・アップルビー)は、罵詈雑言は朝飯前、仕事のためなら何でも平気でやってのけるやり手プロデューサーのクィン(コンスタンス・ジマー)にこき使われる。 ©2015 Photo by Joseph Viles

CWの「Life Unexpected」(2010~11年)以来、主演は久しぶりのシリ・アップルビーが演じるのは、リアリティー番組「Everlasting」で出場者を操る係レイチェルです。職場のストレスに押しつぶされて切れまくり、前シーズンに解雇されたにも関わらず、プロデューサーのクィン(ジマー)が、フリーランスとして雇い直すという役所です。無防備な出場者と懇意になり、あの手この手で操ってドラマ作りをするレイチェルがいないと、’良い番組作り’ができないからです。

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日本でも「ロズウェル 星の恋人たち」で人気が出たアップルビーも、36歳の子持ち。1月に番宣に駆けつけたアップルビーは、憔悴した顔で覇気がなく、「レイチェル役は地で行けそう!」と思ってしまった。 WENN.com

レイチェルは、公私共どん底!番組の車で逃亡したため、裁判沙汰になっており、罰金、弁護料、家賃稼ぎのため、’キチガイ’扱いされることを承知の上で、元の職場に戻るしかありません。カメラマンのジェレミー(ジョシュ・ケリー)とNYに行って、独立系でも良いから映画作りに関与しようと話し合ったこともありますが、レイチェルがいない間に職場のメイク嬢と婚約してしまいました。

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左からジェレミー(ケリー)、アンナ(ジョアンナ・ブレイディ)、クィン(ジマー)、レイチェル(アップルビー)、アダム(フレディー・ストロマ)、メアリー(アシュリー・スコット)、グレース(ナタリー・ケリー)。 ©2015 Photo by Joseph Viles


重い足を引きずって、撮影現場に戻ってきたレイチェルを待ち構えていたのは、此の期に及んで出演を躊躇しているホテル王の御曹司アダム(フレディー・ストロマ)や、訳ありの花嫁候補達です。結婚する気などさらさらないアダムを遺産相続で釣って、出演契約書にサインさせることに成功!一方、再婚して娘を育てたいと参加したアラフォー(=最年長)でシングルマザーのメアリー(アシュリー・スコット)は、ピチピチギャル達に圧倒されているので、もっと積極的にアダムに迫るようアドバイスしますが、アダムが目をつけたのは、当然’すれっからし’グレース(ナタリー・ケリー)なのです。アンナ(ジョアンナ・ブレイディ)が、花嫁候補ナンバーワンにのし上がると、撮影に支障をきたさないよう、アンナの父親が倒れたことをひた隠しに隠します。良心の呵責を感じながらも、出場者の優越感を噂にして女同士の敵対心を煽ったり、劣等感を引き出して失態を演じるように仕向けるのが、レイチェルの仕事なのです。

1990年代に台頭したリアリティー番組は、呼称とは裏腹にリアリティー(現実)ではなく、脚本、筋、キャラ(善人、悪人、犠牲者)などがあり、映像や出場者の発言を操作して、次回を観なければ!と思わせます。それが証拠に、悪者に仕立て上げられた’素人’出場者が、編集がクセモノだと繰り返し指摘してきました。但し、初期の単純な番組と比べると、最近のものは一捻りも二捻りもあり、それなりに女同士のつかみ合いの喧嘩、救急車出動、きわどいシーンなどが増え、スキャンダル度が上昇を続けています。「視聴者の期待に応えるべく」とプロデューサー達は言いますが、現場の撮影班や制作陣が、同じことの繰り返しに飽き飽きし、もっと!もっと!ドラマを!と煽っているのではないかと疑ってしまいます。

「UnReal」1~3話まで観ましたが、この手の番組を制作する方もする方なら、単なる操り人形で「○○役」に仕立て上げられることを承知で出場する方も出場する方なのかな~~と思いました。又、ストレス源だと解っているにも関わらず、元の職場に舞い戻るしかない、二進も三進も行かない状況で生きている若者には共感できるドラマではないでしょうか?私なら、先ずあのように罵倒される環境の中に長時間浸かってなんかいません。多分1日目に辞めているに違いありません。第3話に、レイチェルが味方の振りをして接近し、相手の気持ちを武器に操作/攻撃する方法をどこで誰から学んだのかが明らかになります。


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