新作「Happyish」は、期待外れも良いところ
Showtime局のデビッド・ニヴェン編成局長が、新作「Happyish」のトレーラーを紹介したのは、2014年1月のTCAプレスツアーでした。NYの広告代理店でクリエイティブ・ディレクターを務めるトム・ペインが、幸せとは何か?を探るブラックユーモア劇です。設定が設定だけに、「マッドメン」のコメディ版?と思ったのですが、フィリップ・シーモア・ホフマンが冴えないアラフォー男を演じるトレーラーは、プレスツアーの話題となりました。
「Happyish」は、オスカー受賞名優フィリップ・シーモア・ホフマンのTVデビュー作となる筈だった。クリエイターの著書「Hope: A Tragedy」の映像権を密かに買うほど、アウスランダーの世界が好きだったホフマン。パイロットの撮影現場にいた制作陣は、意外にもホフマンのパイロットは「超根暗だった」と告白している。 WENN.com
シャローム・アウスランダーが創作した本作は、自叙伝以外の何物でもありません。広告代理店でクリエイティブ・ディレクターを務める傍ら、アラフォーを年寄り扱いし、何の価値もないと見下す若者=デジタル志向の職場に嫌気が差して、執筆業に没頭していたと言いますから、正にトム・ペイン=アウスランダーです。
ご承知のように、この作品でテレビシリーズ・デビューを果たす筈だったホフマンの急逝が報道されたのは、2月2日でした。パイロットを撮影した直後だっただけに、2011年からShowtime局が温めてきた「Happyish」はお先真っ暗!と思ったのですが、14年夏にトム役のオーディションが再開されたと言う吉報が入って来ました。何でも、白羽の矢が立ったのは、スティーブ・カレル、ウィル・ファレル、エド・ノートン、ウッディー・ハレルソン、ケヴィン・クラインなど、錚々たる顔ぶれだったとか。
そして、今月26日、漸く「Happyish」のプレミアとなりました。トム役を射止めたのは、英国人俳優スティーヴ・クーガン(50歳)で、英国から移住してきたと言う設定。妻リー役のキャスリン・ハーン(「女検死医 ジョーダン」のリリー役)以外は、助演も撮影班も全て総入れ替えしたと言います。
スティーヴ・クーガンは、切ったり削ったりして、トムを「自分なりに解釈した」と言う。’代役’のレッテルを避けようと、「ホフマンのパイロットは本シリーズが完結するまで観ない!」と宣言し、新しい作品として取り組んだ。 WENN.com
キャスリン・ハーン(リー・ペイン役)は、「クーガンが登板して、本読みの初回が一番辛かった」と語る。ハーンの場合、ホフマンとクーガンが重なって、耐え難いのでは? WENN.com
「パイロットだけなら、諦めたかも知れないが、2話以降5本の脚本が完了していて、すっかりハマってしまった」と言うのは、ニヴェン編成局長です。4月26日の放送開始を前に、3話まで観ましたが、Showtime局がコメディ・ジャンルに押し込んだ「シェイムレス 俺たちに恥はない」と同様、どう逆立ちしてもコメディとは言えません。前回書いた「ナース・ジャッキー」や「キャシーのbig C」のような、主人公に感情移入して応援したくなる作品ではありません。デジタル世代に物申す場面のみ、そうだ!そうだ!と同感できますが、とにかくトムの公私は暗~い、夢も希望もありません。幸せの天井が低いトムは、Happyish(幸せっぽい)で我慢するしかないのでしょうか?私は、「幸せは選ぶもの」派人間なので、毎週この手の暗~いシリーズは遠慮します。
【動画】ドラマ「HAPPYish」トレーラー映像
ホフマン版「Happyish」より、クーガン版の方が明る目って....!?