2012年夏のTCAプレスツアー参加ー最終回 - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

ハリウッドなう by Meg


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2012年夏のTCAプレスツアー参加ー最終回

(2012年10月15日)

プレスツアー報告6回目ともなると、さすがに秋の新番組や継続番組が始まってしまいました。今年は、同じ放送枠に観たい番組が重なることがほとんどなく、同時に4番組を録画できるDVRの出番がありません。それに、地上波局の番組も、最近は放送翌日にはオン・デマンドで観られるようになり、貴重なDVRのスペースを使わずとも、気が向いた時に見逃した番組を視聴できる、有難〜い環境ができつつあります。但し、数週間経たないとオン・デマンドで観られない番組もあるので、DVR録画が必要な必見作と、見逃しても死なない(?)作品に識別する必要があります。

TCAプレスツアーの最終回は、セット訪問とワーナーのTV史展示「Television Out of the Box」についてご報告したいと思います。

毎回、プレスツアーの1〜2日を割いて、LAの撮影所を訪問し、各局のイチ押し番組のセットを見学し、キャストや制作陣にインタビューできるようになっています。TCA古株の話では、昔は毎日、評論家がセットからセットを渡り歩いてインタビューを実施し、全米のロケ地訪問もプレスツアーに含まれていたため、1カ月ほど事務所を空ける「放浪の旅」時代もあったそうです。羨ましい!ここ4〜5年、テレビ番組がLA圏外で撮影されるようになり、特にNYで撮影している作品はセット訪問を取り付けるのが至難の技となっています。

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2010年夏のセット訪問は「デスパレートな妻たち」のウィステリア・レーンで行われた。フェリシティ・ハフマンとマーシャ・クロスが仕事に戻る前に、もう一言....

セット訪問は、旧き良き時代には、TCA会員のみに与えられる特権でしたが、経費削減が第一義の地上波局は、非会員や海外の紙媒体に投稿するLA在住のジャーナリストにも門戸を開き、狭い場所にすし詰め状態に押し込まれるため、余り効果的とは言えません。

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2011年夏、TNTの招待で訪問した「リゾーリ&アイルズ」のセット。少人数のグループに分かれて、左からジョーダン・ブリッジス、ジャネット・タマロ(ショーランナー)、ブルース・マッギルにインタビューした。

今夏は、TCAと話し合った上で、「リベンジ」のセット訪問が決まっていたのですが、約3週間前に参加すると返信したTCA会員の元に「参加希望者が定員を越えたため、残念ながら、今回は参加をご遠慮ください。」というメールがABC広報担当者から舞い込み、訪問前日に大騒ぎになりました。セットの狭さが言い訳だったようですが、TCA幹部が交渉した時には、定員などおくびにも出さなかったそうで、何故、一部の会員が拒否されたのか解らないと会長が乗り出しました。これまでのセット訪問を観察していれば、TCA会員のみが招待されている訳ではないと気付きそうなものですが....参加希望会員を全員許可するか、全員拒否するか二者択一をABCに迫り、結局拒否された会員にお詫びのメールが入って、一件落着....?

擦った揉んだのとどのつまりは......案の定「すし詰め」インタビューで、特にエミリー・ヴァンキャンプが喉を痛めて、声が出ないと言われた日には....ジョシュ・ボウマン、ガブリエル・マン、クリスタ・B・アレン、ニック・ウェクスラー、アッシュリー・マダクイ、コナー・パオロなどが、セットに姿を現しました。真田広之が来シーズンも登場するかどうか広報に尋ねましたが、確認できませんでした。

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グレイソン邸宅のカジュアル・ダイニングルームも、庶民には溜息が出るほど素敵。セットデザイナーにとっては夢のような仕事に違いない。

タレントが登場するまでは、セットの写真を撮影しても良いと言うので、仲間が撮ったものを数枚もらい受けました。私は、パイロット以降、ずっとハンプトンズで撮影しているものとばかり.... セット訪問でいつもびっくりするのは、どんなに狭いセットでも、画面では「壮麗」に見えることです。これが、カメラの魔術と言うものなのでしょうか?グレイソン家の邸宅は、調度品が素晴らしく、セットに住みた〜い!とあちこちで溜息が漏れていました。

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コンラッドが事務所として使う邸宅の書斎。さすがに男っぽい、重厚なインテリアで、権力を象徴している。

「クローザー」のスピンオフ番組「Major Crimes」のセットは、キラ・セジウィックが降板した後、同セットをそのまま使って、キャストも80%は居残りです。メアリー・マクドネル演じるレイダー警部が、セジウィックに替わって重罪捜査課を引き継ぎます。但し、元執行調査課のレイダー警部は、重罪捜査課で働く刑事達が規則通りに捜査を行っていないと、重箱の隅を楊枝でほじくる鬱陶しい存在として登場したキャラです。ジョンソン本部長補佐が抜けた後、部下がレイダー警部を課の指導者として受け入れるのかどうか?また、自白に追い込むプロ「クローザー」が抜けた後、重罪捜査課がどう変わるのか?などを、クリエイターのジェームス・ダフ、プロデューサーのマイク・ロビン、G.W.ベイリー、トニー・デニソン、マイケル・ポール・チャン、ジョン・テニー、レイモンド・クルーズ、フィリップ・P・キーン、ロバート・ゴセットなどが語ってくれました。

「Major Crimes」では、検察官、おとり、FBI特別捜査員など、数人の新キャラを加えて、正義を様々な立場/観点から追求するそうです。刑務所満杯のカリフォルニアでは、投獄以外の処罰は「交渉」次第....ぎょっ!!リンジー・ローハンがすぐ出獄するのには、このような裏事情があります。軽犯罪でも情状酌量の余地ありの被疑者でも、とにかく投獄しようとするラスベガスとは、雲泥の差があります。誰でもムショ送りしたがるラスベガス検察局と闘う庶民の味方を描いた「ディフェンダーズ 闘う弁護士」で、学んだ何の役にも立たない(?)知識でした!

そして、今夏のわくわく度最高のイベントは、ビバリーヒルズにあるペイリー・センター・フォー・メディアで8月から公開されたワーナー・ブラザース・テレビジョン・グループのTV史展示「Television Out of the Box」です。2005年1月から、ワーナー撮影所内にある博物館1階にテレビ制作50周年を記念して、TV史に残る番組の小道具、衣装、大道具などが展示されていますが、撮影所ツアーに参加しない限り入れない博物館で、いつも急かされて、じっくり観賞できない2点から、アクセスの悪い展示だ!と不満に思っていました。

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左は「FBI」でアースキン捜査官が着用した背広上下。右は「ハワイアン・アイ」の歌姫クリケットのドレス。真ん中は感激の私!?

ペイリー・センターは、一般公開なので、入場料を払えば5時間まで、時間はたっぷり!テレビファンのメッカになることは、間違いありません。TCA会員はオープン前夜(7月31日)に、番組制作関係者やまだ健在のキャストなどに混じって、1955年に始まったワーナー・ブラザース・テレビジョン作品にまつわる数々の展示を満喫させていただきました。50年代の西部劇、60年代の私立探偵モノ(「サンセット77」「ハワイアン・アイ」「FBIアメリカ連邦警察」)、70年代のヒット作「ダラス」「ルーツ」「ワンダー・ウーマン」、80年代は女性の自立を代表する「TVキャスター マーフィー・ブラウン」「Alice」などが、趣向を凝らした双方向展示で記憶の奥から飛び出してきます。

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「コールドケース」でラッシュ刑事が制服のように着用していた、紺色のパンツスーツ。サイズはXXS?とにかく、細い!!!

94年、彗星の如く現れ、テレビ史を書き替えた「ER 緊急救命室」は、キャストの身分証明書が一カ所に集められていて、歴史の長さを感じさせてくれます。「フレンズ」や「となりのサインフェルド」の溜まり場がそっくりそのまま再現されていたり、大統領になった気分で「ホワイトハウス」の演壇に立ってハイポーズ!もできます。

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「ER」の医師キャラの身分証明書。最上段左端がジョージ・クルーニーのロス先生の証明書...お土産物店で偽物で良いから売ってくれないかな?

WB局の看板娘的存在だった「ギルモア・ガールズ」や日本でも大人気だった「The O.C.」や「フルハウス」、最近の番組は「ビッグバン★セオリー〜ギークなボクらの恋愛法則」「コールドケース」「ヤング・スーパーマン」「クローザー」「チャック」「メンタリスト」「Southland」などなど。何と、2015年まで継続されるそうで、LAの最新の観光名所になるのでは?少なくとも、日本のテレビファンには是非見に来ていただきたい展示です。

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カーター先生の処方箋まである。画面に登場したことはあるのだろうか?「現実に忠実に」をモットーにそこまで凝るか?!と思う小道具を何度も目にしたことがある。


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