「プリティ・リトル・ライアーズ」のルーシー・ヘイルが放つ新作「Life Sentence」は、癌を克服した一家の再出発を涙と笑いで描く。8年間の犠牲と妥協が家族に残した傷は、想像以上に深い!?「目からウロコ!」満載のドラメディー。 - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

ハリウッドなう by Meg


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「プリティ・リトル・ライアーズ」のルーシー・ヘイルが放つ新作「Life Sentence」は、癌を克服した一家の再出発を涙と笑いで描く。8年間の犠牲と妥協が家族に残した傷は、想像以上に深い!?「目からウロコ!」満載のドラメディー。

(2018年4月18日)

CW局は、統合失調症を患う地上波局です。吸血鬼が幅を利かせていた頃は、視聴者ターゲットは17~34歳の女性と主張していましたが、SFモノやアメコミ実写版が大半を占めるようになった昨今は、14~27歳の男性が対象だと言います。2~3年毎に、コロコロと気が変わるのか、作風に応じて集まってくる視聴者が変わるため、ファン層=ターゲットと称するのか?等、首を傾げてしまうことが多い摩訶不思議な局です。カメレオンではあるまいし、局のカラーや対象が、いとも簡単に変わるのは、はっきり言って変ですよ!


4月2日、CW局が更新するシリーズ10本を発表しました。
「ARROW/アロー」
「ブラックライトニング」
「レジェンド・オブ・トウモロウ」
「The Flash/フラッシュ」
「スーパーガール」
「リバーデイル」

「クレイジー・エックス・ガールフレンド」
「ジェーン・ザ・ヴァージン」
「ダイナスティ」

「スーパーナチュラル」(シーズン14、300回を迎える長寿番組)

アメコミ実写版は数あれど、私はDCコミックスのTVシリーズの第一弾としてCWでデビューした「アロー」一本に絞っています。何を隠そう、オリヴァー・クィーンに抜擢されたスティーブン・アメルを観ているだけなのです。それでも、オリヴァーの過去の経緯を描くフラッシュバックが鬱陶しくて、一時は放棄しようかと考えました。あそこまで、これでもか!これでもか!とオリヴァーの過去を見せられると、食傷気味になります。話が行きつ戻りつ=ほとんど前進しないもどかしさと、延々と続くアクション・シーンにもウンザリしていましたが、最近、フラッシュバックとアクション・シーンを早送りですっ飛ばして観ることにしました。問題解決!です。


アメコミ実写版、SFモノ/ファンタジースリラーに加えて、時々評論家好みの「ジェーン・ザ・ヴァージン」「クレイジー・エックス・ガールフレンド」などの異色ロマコメと、クリエイターの思い入れの深い、ユニークなドラメディーやロマコメを発表するのも統合失調症を患う(?)CW局の特徴と言えます。特に今年から土曜日を除く週6日午後8~10時の2時間枠を埋めるため、異色作を増やす必要があるのかも知れません。


この評論家好みカテゴリーに属するのは、2016年10月25日にご紹介した「No Tomorrow」(2016~17年)、ブリット・ロバートソンのデビュー作「Life Unexpected」(2010~11年)、そして古くは、ルーシー・ヘイルがキャストの1人を務めた「Privileged」(2008~09年)です。いずれも短命で葬り去ったにも関わらず、懲りない(?)CW局は、今春又もやキラリと輝く「Life Sentence」を放ちました。


英文評


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CW


ステラ(ヘイル)は、15歳で癌を宣告され、家族に支えられて、我が人生に一片の悔いなしリストを片っ端から実行して、精一杯「死ぬ」準備をしました。最後の願いは、姉リンジー(ブルック・ライオンズ)のように、幸せな家庭を持つこと。パリで恋に落ちることを夢見ていたステラは、街を徘徊している英国人ウエス(エリオット・ナイト)に出会い、電撃結婚します。長くても、半年の命と言い渡されていたステラは、葬式ケーキまで注文して覚悟していたのですが、臨床試験薬が効いて、生命拾いします。


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1月7日に開催されたCW局のパネルインタビューは「Life Sentence」と「ブラックライトニング」の2本。会場入口には、「Life Sentence」の巨大な番宣写真が飾られていた。(c) Meg Mimura


23歳にして、初めて終身刑(「Life Sentence」の意味)に処せられ、「生き」始めるステラです。しかし、第二の人生を始めるのは、ステラだけではありません。母アイダ(ジリアン・ヴィグマン)は父ポール(ディラン・ウォルシュ)を捨て、レスビアン生活を始めます。長女リジーは小説を書くと、幼い子供を夫ディエゴ(カルロス・ペナ・ヴェガ)に押し付け、山中に籠ってしまいます。プレーボーイを自負する長男エイダン(ジェイソン・ブレア)は、闘病中ステラには心の支えだったのですが、野心もなく処方鎮痛薬を売って食べている「負け組」です。


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「Life Sentence」をテーマにした朝食(?)が振舞われた。幸い、病院食ではなかった。(c) Meg Mimura

闘病中、病状に触るような厳しい現実は一切知らされなかったステラ。1日でも長く生きてもらおうと、家族全員が並々ならぬ努力、妥協をし、犠牲を払っていたのです。完治して初めて、綺麗事世界に隔離されて8年を生きたのだと悟ったステラは、完璧な家族が音を立てて崩れて行くのを目前にして、後ろめたさで心中穏やかではありません。恩返ししたいと思うものの、23歳にもなって就職したことも自立したこともありません。「死ぬ」準備に忙しくて、「生きる」術を取得していなかったからです。


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カフェラテのフォームミルクにも、趣向が凝らされて、番宣に力が入っていた。(c) Meg Mimura


こうして自分探しの旅を余儀なくされたステラは、瞬く間に冷たい現実の壁にぶち当たります。もう誰も応援してくれないのか?お互い何も知らずに結婚した夫は、果たして頼りになるのか?これからどんな人間になりたいのか?等々、不安の材料は山ほどあります。危なっかしいながら、自分探しの第一歩を踏み出したステラの冒険を笑いと涙で綴るのが、「Life Sentence」です。


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番宣グッズは、「Life Sentence」のロゴ入りのスープカップ。(c) Meg Mimura


「どんな人間になりたいか?夢は?希望は?このまま結婚していても、大丈夫なのか?などをステラが追求する行程を描くのよ」とヘイルは、このドラメディーへの熱い思いを語りました。私は幸い、癌患者の側にいた経験がありません。ステラを守るために、家族が払った犠牲が語られる毎に、目から鱗が落ちる思いです。癌と闘ったのはステラだけではないのです。一家全員が癌の被害者です。何度も、「御もっとも!」と唸ってしまう、未知の世界に誘ってくれる作品なので、是非長く続いて欲しいものです。


しかし、3月7日にデビューしたばかりと言うのに、既に放送日を水曜日から金曜日に移されてしまいました。米国では、金曜日は誰もテレビを観ていない日と見下され、打ち切りを待つだけの煉獄なのです。やばい!ですよ。もっとも、「クレイジー・エックス・ガールフレンド」と「ジェーン・ザ・ヴァージン」は金曜日枠に追いやられましたが、いずれも更新が発表されていますから、「クレイジー・エックス・ガールフレンド」と対にして、継続してもらえないかしら?と希望的観測をする私です。


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