21世紀の結婚を考察する「Satisfaction」「The Affair」 - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

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21世紀の結婚を考察する「Satisfaction」「The Affair」

(2014年9月10日)

去る7月17日に、USA局でデビューした新番組「Satisfaction」は、倦怠期を迎えた21世紀のアラフォー夫婦を通して、結婚のルネサンスを考察する示唆に富んだドラマです。一夫一婦制の結婚制度の崩壊が叫ばれて久しい米国でも、不倫や男娼を吊るし上げず、冷静な目でユーモアたっぷりに描くドラマは珍しく、今シーズン残り2話になり、「えー、始まったばかりなのに?!」と不満が聞こえてきます。

【動画】 「Satisfaction」トレーラー

トルーマン一家は、ニール(マット・パスモア)を筆頭に、妻グレース(ステファニー・ショスタク)と16歳の娘アニカ(ミシェル・デション)の三人家族。プール付きの夢のようなマイホーム、自家用車2台、大型3Dテレビと、欲しいものは何もかも手に入れたアラフォー夫婦です。ニールは高給取りの投資アドバイザー、グレースはインテリアデザイナー、アニカは私立高校に通っていて、何の不自由も無い、幸せな一家のように見えますが....

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「Satisfaction」ショスタク(左)は、所帯臭さの全くない妻グレースを演じているが、時々地に足が着いていないな〜とがっかりする。今時のアラフォー良妻賢母はこんなものなのか?一方、パスモア(右)は、普通の男ニールを見事に演じている。 WENN.com

子育ても終わり、そろそろ向き合って生きていかなければならない時期に差し掛かったニールとグレースですが、忙しさにかまけてすれ違いを繰り返してきた結果、夫婦の会話はゼロ。倦怠期真っ最中に、‘中年の危機’に突入したのか、ニールは社会に何の貢献もしていないと、仕事に愛想を尽かして退職。意気揚々と報告に出かけたグレースの職場で、ニールが目にしたのは、昼下がりの情事!悟りを開くべくニールが自分探しの旅に奔走している間に、刺激を求めたグレースが、バーで知り合ったジゴロと密会を楽しんでいたのです。

18年連れ添った妻の背進を責めるどころか、降って湧いたチャンスを利用して、ニールは男を買う主婦の本音を聞き出すことに成功します。そっくりそのままグレースに適用して、消えかかった情熱の炎を再燃させようとしますが....背中合わせのまま、仕事や子育てが降り掛かってきて、夫婦の間にできた溝は広がる一方です。

09〜11年に、HBOで放送された「Hung」というドラマを彷彿させます。このドラマは、バツイチで薄給の高校のバスケ/野球のコーチが、有閑マダムのお相手をして生計を立てている内に、女/主婦の愚痴を聞いて、再婚してしまった元妻の気持ちを悟るという内容でした。主人公が男性だったことが、「Satisfaction」とは異なります。

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「Hung」で有閑マダムの相手をして生計を立てるようになったレイ・ドレッカー役のトーマス・ジェーン(左)と、ぽん引きタニア役ジェーン・アダムス。見かけよりずっと濃い内容にびっくりした視聴者も多い。 Chuck Hodes/HBO

一方、10月19日に始まるShowtime局の「The Affair」は、ミステリー仕立てで、二組の夫婦の結婚を描くドラマです。NY州サウスフォーク半島の避暑地モントークで繰り広げられるウェイトレスのアリソン(ルース・ウィルソン)と、妻の実家に避暑にやって来た教師/作家のノア(ドミニク・ウエスト)の不倫が両家族に投ずる波紋を描きます。シーズン1は10話で、ある事件を黒沢監督の映画「羅生門」のように、アリソンとノアの視点から描くのが味噌です。共演は、アリソンの夫コールにジョシュア・ジャクソン、ノアの妻ヘレンにモウラ・ティアニー。

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「The Affair」でウィルソン(左)は「ルーサー」の精神異常者とは似ても似つかぬ、苦しみに耐える女アリソンを演じる。一方、悪役が多かったウエストは、妻の家柄に押しつぶされそうな繊細な男ノア役に挑戦。但し、パーティーで会ったウエストは冗談で固めたような人で、番組の宣伝にも長けていた。 WENN.com

【動画】 「The Affair」トレーラー

クリエイターは、HBOで3シーズン続いた「In Treatment」(08~10年)のハガイ・リーヴィーとサラ・トリームです。人間の心理を描かせたらこの二人の右に出る放送作家はいません。男女作家コンビであることを利用して、男と女では見方、感じ方が異なる上、生い立ち、文化、階級、教養等で形成された各人のフィルターを通して見る結果、同一の出来事でも大きく異なるという’核心’を描きます。

また、「不倫相手が普段どのような体験をしているのかは、謎でしょ?逢瀬の時に、二人の世界が一時的に生まれるけれど、結局、夫々が別世界へ帰って行く訳だから....二つの世界を行き来している男女、しかも男と女はものの見方も感じ方も違うし、そこが面白いと思ったの」とトリームはパネルインタビューで述べました。階級や階級の差から生まれる偏見も極めて重要な波紋の要素となると付け加えました。

今夏、FXが男女関係、結婚を描くコメディー「Married」と「You're the Worst」を発表しましたが、明らかに若い男性視聴者向けで、いずれも観るに耐えません。もう1本、期待できるのは、デビューは12月2日というBravo局初のドラマ「Girlfriends' Guide to Divorce」です。同作も、タイトルに反して結婚とは何かを探ります。まだパイロットを観ていないので、どのような作品に仕上がっているかは疑問ですが、1)クリエイターがマーティー・ノクソン(「マッドメン」でマシュー・ワイナーから訓練を受けたライター)で、ノクソン自身の離婚やバツイチデート体験を元に書いたこと、2)主演がリサ・エデルシュタイン(「HOUSE」)と、脚本も手がけるポール・アデルスタイン(「プライベート・プラクティス)」であること、3)助演にもなかなか個性的な女優が配役されていることの3点からだけでも、かなり期待できます。

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「Girlfriends' Guide to Divorce」のアビー役エデルシュタイン(左)、元夫ジェイクにはアデルスタインが登板。「名字が一字違いだから、親戚かも?」と、初対面から意気投合したと声を揃える二人。 WENN.com

【動画】「Girlfriends' Guide to Divorce」トレーラー

但し、今年何故5本も男女関係を考察する作品が登場したのか?と言う、疑問は残ります。アクション、スパイスリラー、アニメの実写化などが横行して、そろそろ違うものを観たいという視聴者が増えたのでしょうか?不況の風が収まって、結婚や不倫について考える余裕ができたからでしょうか?大型の劇場用映画しか制作できない現環境で、男女関係は完全に映画から弾き出されていますから、感情の起伏、人間の成長過程などを細やかに、長期に渡って描けるテレビに移行せざるを得ないと言うことかも知れません。「Satisfaction」や「The Affair」を満喫できるのなら、原因はどうでも良いのですが....

因に、TCA会員が今秋の期待作に投票、結果が9月9日に発表されました。通常、おじさん評論家達が忌み嫌っている男女関係を描くドラマ「The Affair」が、期待の新作3位と期待のドラマ2位に挙がりました。ウッソー!と目を疑って、何度も読み返した私!どこがどう受けたのでしょうか?それとも、女性会員が増えたと言うことなのでしょうか?分析の要ありですね....


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