プレスツアー5、コメディーに賭けるCBS - ハリウッドなう by Meg | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

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プレスツアー5、コメディーに賭けるCBS

(2013年9月18日)

相も変わらず視聴率最高を誇るCBS故に、今秋用の新作はドラマ2本「Hostages」「Intelligence」と、コメディー4本「The Crazy Ones」「The Millers」「Mom」「We Are Men」の計6作品ですが....継続番組の放送枠を空け渡すほど画期的な作品は今年も見当たりません。

敢えてお薦めするなら、コメディー3作「The Crazy Ones」「Mom」「We Are Men」です。

「The Crazy Ones」は、ロビン・ウィリアムズの約30年振りのシリーズ復帰作です。ウィリアムズが演じるのは、シカゴの奇才広告マン、サイモン・ロバーツで、ロバーツ&ロバーツの共同経営者である娘シドニー(サラ・ミシェル・ゲラー)との父娘関係を面白おかしく描く職場コメディー。クリエイターがあのデビッド・E・ケリーであること、サイモンを師と仰ぐ青年ザックをジェームズ・ウォルク(「Lone Star」「Political Animals」)が好演しているのもお薦めの理由です。

【動画】 ロビン・ウィリアムズ、約30年振りのシリーズ復帰作「The Crazy Ones」トレーラー

番組の最後に追加されているNGシーンを観ていると、あんな職場で働きたい!と思うほど、皆抱腹絶倒しています。本当に楽しそう!若かりし頃のウィリアムズは、こんな人と1日も一緒に過ごせないと遠慮してしまうほどテンションの高い人でしたが、パネルインタビューでも独りで笑いを獲ろうとせず、歳相応の落ち着いた対応ができるようになりました。シカゴで活躍した広告マン自らが持参したアイデアをケリーがテレビ化しましたが、この手の作品は、毎回広告キャンペーンを創造するのが一苦労だとTNTの「Trust Me」(1シーズンで打切り)のクリエイターが告白したことを思い出しました。ストーリー展開だけでも大変なのに、架空の会社の広告キャンペーンを創造するなんて、確かに至難の業ですが、そこは天下のケリーですから、何とかするに違いないと期待しています。

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「The Crazy Ones」で、奇才広告マンを演じるロビン・ウィリアムズ。即興か台詞か全く区別がつかないのは、天才コメディアンの証拠に違いないが、最近は歳相応の落ち着きが出て来た。 Landmark / PR Photos

一方、「Mom」はチャック・ローリーの最新作です。「アナ・ファリスが主役クリスティーを射止めた瞬間にシリーズは完成した」とローリーに言わしめるほど、期待が寄せられるファリスです。

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「Mom」のダメ女クリスティー役を射止めたアナ・ファリス。ローリーのお眼鏡にかなったのは、まともに生きようとする健気な努力が共感を呼ぶからだ。演技ではなく、ファリス自身の持ち味と観た。 Andrew Evans / PR Photos

バツイチのクリスティー(ファリス)は、学歴がないばかりにウェイトレスをして十代の娘ヴァイオレットと小学生の息子を育てています。母親ボニー(アリソン・ジェニー)譲りの依存症から立ち直ったばかりで、何とかダメ女から脱却しようと試みますが....親として失格だったボニーは一切非を認めないどころか、子育てに茶々を入れ、クリスティーの神経を逆撫でします。上(母親)からも下(娘)からも突き上げられるダメ女ではありますが、こんな筈では!何とかしなきゃ!と必死で変わろうとする姿は、共感度抜群で、思わず応援したくなるキャラです。

【動画】 アナ・ファリス主演コメディ「Mom」トレーラー

「We Are Men」はタイトル通り、失恋/別居/離婚など人生の岐路に立った男が集まってくるLA(厳密にはターザナという北西の町)の「仮住まい」を舞台に、世代を超えた男の友情を描きます。「モンク」以来初のシリーズに挑戦するトニー・シャルーブは「バツ四」のフランク、「ディフェンダーズ」以来のジェリー・オコンネルは、二度目の離婚訴訟真っ最中のスチュアート、「HOUSE」を降板してホワイトハウス公聴局副局長を務めるカル・ぺンは別居中のギル役です。テレビではすっかりお馴染みの「顔」が、挙式中に新婦を奪われた情けない青年カーターに、独身生活の楽しみ方を指導(余計なお世話!?)します。

【動画】 世代を超えた男の友情を描く「We Are Men」トレーラー

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「We Are Men」で、「バツ四」フランクを演じるトニー・シャルーブ。アジア系女性が好みの自称プレイボーイは、モンクとはほど遠い役所だ。 Steve Solis / PRPhotos.com

CBS/CW/Showtimeのパーティーでは、「グッドワイフ」のクリエイターであるキング夫妻をインタビューしましたが、残念ながらネタバレになるので、内容を明かすことはできません。シーズン5は9月29日開始、100話が丁度12月上旬にあたるので、シーズン後半に向けて崖っぷち的逸話を予定しているそうですが、まだ内容は固まっていないとか。

シーズン4でアリシアが人間として、弁護士として大きく成長した素晴らしい展開に感謝し、最も胸を打たれた逸話や、ピーターへの懐疑心を180度転換した人物と出来事について尋ね、今後ザック(息子)とグレイス(娘)をもっと起用して欲しいとお願いしました。どんな職業、地位であれ、シーズン4のフィナーレ回は、「働く女性」にとって、大いに納得の行く展開になっており、「グッドワイフ」が視聴者の知性を尊重する貴重な作品であることを実証しました。

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「グッドワイフ」クリエイター、ロバートとミシェル・キング。過去に制作した「In Justice」も秀作だったが、「グッドワイフ」で夫妻のチームワークが大きく開花したことが何よりも嬉しい。 Tatiana Beller / PR Photos

政治家の失態/スキャンダルは尽きず、特にニューヨーク市長立候補を飽くまでも諦めないアンソニー・ウィーナーを支える妻ウマ・アベディンに宛てて、「アリシアからのアドバイス」と題して新聞記事が出たことについて、「テレビ番組のキャラが、同じ立場に追い込まれた女性に力と勇気を提供できたのは、光栄の至りだわ!」とジュリアナ・マルグリーズが述べました。本当に、良く書けた、学ぶこと満載の秀作です。

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「グッドワイフ」ジュリアナ・マルグリーズは、「シーズン4フィナーレ話のアリシアの『選択』の重みを満喫している」と語った。 Andrew Evans / PR Photos

「デキる女」の急減について質問しましたが、「『Hostages』は?」と切り返されました。状況が現実的ではないことを指摘すると、逆にロバート(・キング)から、「今シーズン、何が面白い?」と尋ねられました。今、一番乗っている放送作家に私の意見を聞かれるとは、光栄の至りですが....即答できません。来春までお預けの「Resurrection」に期待していると答えましたが、30年前に死んだ息子が10歳の少年として両親の元に戻ってくる神秘的なドラマは、一般受けしないからと、すぐ打ち切られるに違いありません。私好みのドラマは、何しろ一般受けしないのです。大人の鑑賞に耐える「グッドワイフ」を、「少なくとも後4〜5年は続けてください」とお願いしておきました。ちなみにロバートのお薦めは、Netflixのオリジナル作品「Orange Is the New Black」ですが、女囚拘置所が舞台のドラメディーなので、余り視聴意欲が湧きません。


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