真の意味で「国民的」番組になるのか?アメリカン・アイドル - ぐるぐる海外ドラマBLOG TVGROOVE.comの社長日記 | TVグルーヴ オフィシャル・ブログ アーカイブ(更新終了)

ぐるぐる海外ドラマBLOG TVGROOVE.comの社長日記


前の記事:
マーケティングの時代
次の記事:
夢に向かって仕事をする

真の意味で「国民的」番組になるのか?アメリカン・アイドル

(2009年3月 2日)

酩酊会見の中川元金融財務大臣を見ていたら、、、

Nakagawa01.jpg
中川昭一元財務・金融大臣 Insidefoto / PR Photos


アメリカン・アイドルのポーラ・アブドゥールを思い出しました(笑)。

PaulaAbdul01.jpg
ポーラ・アブドゥール Bob Charlotte / PR Photos

番組を見てる人はわかると思いますが、ポーラといえばものすごいハイな状態でインタビューを受けたり、アメリカン・アイドルの中で意味不明の発言をすることがもう有名になっていて、昨シーズンもまだ歌われてない歌についてコメントするというアクロバット(?)をやってしまったため、深刻なドラッグ中毒なのではないかという噂が立ち、番組中に司会のライアン・シークレストが否定するというシーンがありました。審査員が今シーズンから1人増えたのは、ポーラに何かあったときのためなのではないかと、勝手に想像したりしてますが、今シーズンのポーラはどんなサプライズを見せてくれるでしょうか。

そんな、不謹慎な期待は置いておいて、、でも実は、この2人まったく関係がないわけではありません。

中川元大臣ら世界各国の政治・経済界のお偉方が格闘している最近の大不況とアメリカン・アイドルは関係が大アリです。大アリどころか、おそらくアメリカで放送される数ある番組の中で一番、影響がある番組がアメリカン・アイドルなのではないかとさえ思います。

なぜかというと、アメリカン・アイドルの一番のスポンサーが、もはや死に体となりつつある、自動車のビッグ3の一つ、フォードだからです。

フォードがどれほど大きなスポンサーか、ということは、アメリカン・アイドルのロゴを見ればわかります。

AmericanIdol02.jpg
アメリカン・アイドルのロゴマーク

このブルーの楕円形のロゴはアメリカ人が長年親しんだフォードのロゴそっくりに作ってあるんです。

フォードのHP

スポンサーとして出している金額も半端ではありません。フォードは昨シーズンに7800万ドル、1ドル100円換算で78億円をアメリカン・アイドルに出しました。過去7シーズン合計では、3億2850万ドル、約328億円にものぼります。

視聴率が常にナンバー1の国民的番組が成り立つのも、こうした巨大なスポンサーがいるからと言えるのかもしれませんし、その中でもフォードはひときわ大きな存在なのです。

でも、昨年10月のリーマン・ショック以来、奈落の底に落ちていくかのような急激な不況に世界が苦しんでいる中、そして特にビッグ3を筆頭とするアメリカの製造業が大打撃を受けている中、今シーズン(シーズン8)もフォードはアメリカン・アイドルのスポンサーを続けていることは正直とても不思議です。

フォードが世間にシーズン8のスポンサーを発表したのは2008年の11月の下旬。ちょうど、アメリカの議会で、ビッグ3の救済策が話し合われていて、ビッグ3のCEOたちがプライベートジェットでワシントンに来ていたことを激しく非難されていたのと同じ頃です。

ビッグ3のCEOたちは国民の血税を注入してビッグ3を救おうとしているのに、プライベートジェットなんか乗ってけしからん、といった批判を浴びました。企業が破綻の危機にあり、従業員が路頭に迷うかもしれないわけですから、批判はもっともですよね。

でも、フォードのアメリカン・アイドルのスポンサーは実行されました。

視聴率ナンバー1番組のスポンサーでいることは、巨額の資金をつぎこんでも業績によい影響を与えるだろうという判断なのでしょうか?

いや、世の中そんなに甘くないですよね。生きるか死ぬかの攻防の中で、税金を使ってまでなんとかしようとしているさなかで、CMにじゃぶじゃぶお金を使うことはどう考えても割に合わないはずです。

アメリカン・アイドルがフォードのスポンサーによって作られ、そのフォードが税金を投入して救済されるのだとしたら、アメリカン・アイドルは文字通り「国民的」番組になってしまいますね(苦笑)。そこまでアメリカ国民がアメリカン・アイドルにのめり込んでいるということなのでしょうか??


ということで、いろいろ疑問はつきないのですが、いずれにせよ、ビッグ3の行方は気になりますし、アメリカン・アイドルの今シーズンは大丈夫だとしても、来シーズンにはさすがに何らかの影響があるだろうと思っています。

打ち切りなんてことにはならないことを祈りたいのですが、まずそれには番組コストもダイエットを求められるかもしれませんね。そうなればシーズンあたり40億円以上といわれるサイモンのギャラが真っ先に標的になるでしょう(笑)。

SimonCowell01.jpg
サイモン・コーウェル Albert L. Ortega / PR Photos


清水 裕一


前の記事:
マーケティングの時代
次の記事:
夢に向かって仕事をする

最近の記事

▲ TOP