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犯罪捜査の本物のリアリズムを見せてくれる「THE WIRE/ザ・ワイヤー」

(2008年5月10日)

スーパー!ドラマTVでスタートした「THE WIRE/ザ・ワイヤー」

「西ボルチモアのストリートを舞台に、警察と麻薬組織による終わりなき
ドラッグ戦争を描いた社会派クライム・アクション」

今までの犯罪捜査ドラマの「リアリティ」という概念を
吹っ飛ばすようなドラマです。

 
TheWire02.jpg
「THE WIRE/ザ・ワイヤー」キャスト © Jennifer L. Gonzeles / PR Photos

 
まず、映像は、ドキュメンタリーのようで派手さや演出を感じさせるものは一切なし。BGMもなし。

舞台設定は、かつては工業都市として栄えたが今はすっかり勢いをなくしてしまったボルティモアの貧困層が住む地域。

その風景はものすごく殺伐として、そこに住んでいる人々もまったく精気を欠いてやる気なくたたずんでいる感じが、怖いぐらいにリアルです。

(アメリカに旅行して、あそこの地区は危ないから絶対行っちゃいけないよ、とガイドから言われるような地域に何度か行ったことがありますが、本当にこんな感じでした。)

 
 
そういう地域のコミュニティ全体が、ギャングに支配されていて、クスリ漬けになっている。

警察はそれをなんとかしなくちゃならないのだけども、国際的なテロや凶悪犯罪ばかりに人手をとられて、全然力を入れようとしない。

そればかりか、

警察という組織も相当腐っていて、意味のない官僚主義がはびこっていたり、無能でやる気のない人材ばかりで、とても麻薬組織に対応できる陣営が組めない。

一人や二人がやる気を出して、ギャングのふところに飛び込んで行っても、相手はコミュニティ全体を手中に収めている強大な犯罪組織。赤子の手をひねるようにやられてしまうことは火の目を見るよりも明らか。

はたして、この先一体どうなるのか~??

 
 
というドラマなのですが、よくあるドラマのように、

犯罪といえば、

大がかりなテロであったり、知能的な犯行であったり、凶悪犯罪であったり、

また悪と戦う人たちといえば、

正義感に燃えて、昼夜をとわず命をかけて突進していくかっこいい刑事やFBIエージェントたちで、激務の合間には小洒落たオフィスラブも一つ、二つとこなして・・


みたいなイメージとはまったく対極にあるドラマで、


犯罪者は地味だし、犯罪も地味だし、
それを追いかける刑事たちも普通のおっさんたちで、
ほとんどが惰性で仕事をしているようなやる気のない人たちばかりだし、
警察ならではの威厳・権力みたいなものも全然もってないようだし・・。


でもこういうのこそ本当にリアルなんだろうなと思います。

ドラマ全体がかもしだす、有無を言わせない圧倒的な迫力のリアルさに、未体験のゾクゾクした興奮を感じました。

 
好き嫌いが分かれるドラマだとは思いますが、これを作った人は

アメリカ社会の足下に潜む本当に深刻な問題

に目を向けさせたかったのだと思います。

そういう観点からはとてもよくできたドラマだと思いました。
 
清水裕一


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